2024年4月からの足場法改正、建設・リフォーム業界の皆様は準備は万端でしょうか。
今回の改正は、高所作業における安全確保を目的としており、特に「本足場」の義務化が大きなポイントとなっています。
改正で何が変わり、どのように対応すべきか、具体的な内容と業者選びのポイントを解説します。
現場での安全確保、そして法令遵守のため、この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
それでは、足場法改正の概要と背景から見ていきましょう。
足場法改正の概要と背景
墜落事故の現状と課題
建設業における労働災害は依然として深刻な問題です。
特に高所作業での墜落・転落事故は大きな割合を占め、多くの犠牲者が出ています。
令和3年度の労働災害統計では、死亡災害約300件のうち、墜落・転落事故による死亡は約110件に上ります。
そのうち、足場からの墜落事故は約2割を占めており、足場における安全対策の抜本的な見直しが必要とされていました。
この状況を踏まえ、安全性の高い足場を使用するよう促すため、法改正が行われました。
法改正の目的と意義
今回の足場法改正の目的は、高所作業における墜落・転落事故の減少です。
具体的には、安全性の高い「本足場」の使用を原則義務化することで、作業員の安全を確保し、労働災害の発生率を下げることが期待されています。
これは、単なる法令遵守だけでなく、企業の社会的責任を果たす上でも重要な取り組みと言えるでしょう。
また、業界全体の安全意識向上にも繋がるものと期待されています。
足場法改正の具体的な内容
一側足場と本足場の違い
一側足場は、建物の外壁面に沿って支柱を1列に設置する足場です。
設置が容易でコストも低い反面、手すりの設置が難しく、転落リスクが高いという課題があります。
一方、本足場は支柱を2列に設置する足場です。
作業床が広く、手すりの設置も容易なため、一側足場と比較して安全性が格段に向上しています。
図解はできませんが、イメージとしては、一側足場は壁際に一本の柱を立て、作業板を乗せた構造であるのに対し、本足場は壁際に二本の柱を立て、作業板をその間に渡した構造となります。
一側足場の使用制限
2024年4月以降、建築物外面からの幅が1メートル以上の箇所では、原則として本足場の使用が義務化されました。
一側足場は、幅1メートル未満の場所、つり足場、または障害物などにより本足場の設置が困難な場合に限り、例外的に使用が認められます。
ただし、可能な限り本足場を使用することが推奨されています。
点検者指名と記録保存の義務化
2023年10月からは、足場の点検者指名と点検記録の保存が義務化されました。
事業者は、作業開始前や悪天候後などに、事前に指名した点検者による点検を実施し、その結果を記録・保存する必要があります。
点検者の指名方法は、書面、口頭、メールなど様々な方法が認められていますが、重要なのは、責任ある点検体制を構築することです。
記録は、万が一の事故発生時に重要な証拠となります。
足場に関する法改正後の業者選び
法改正への対応状況
業者選びにおいて、最も重要なのは法改正への対応状況です。
業者は、改正内容を正しく理解し、それに基づいた安全な作業を実施できる体制が整っているかを確認しましょう。
ホームページや見積書に、法改正への対応について明確に記載されているかどうかを確認することが重要です。
対応状況が不明確な業者には注意が必要です。
安全対策の充実度
安全対策の充実度も重要なチェックポイントです。
足場の設置状況、定期点検の実施状況、作業員の安全教育など、具体的な内容を確認しましょう。
安全対策に積極的な業者を選ぶことで、作業中の事故リスクを低減できます。
また、最新の安全技術を導入している業者も好ましいでしょう。
サービスの質と透明性
サービスの質と透明性も確認すべき点です。
見積りの明瞭さ、工事の進捗状況の報告、アフターサービス体制など、総合的なサービスレベルを確認しましょう。
信頼できる業者を選ぶことで、安心して工事を進めることができます。
過去の施工事例や顧客からの評価なども参考にすると良いでしょう。
FAQよくある質問
Q1. 本足場の設置が困難な場合、どうすれば良いですか?
A1. 建築物外面からの幅が1メートル未満の場合、または障害物などにより本足場の設置が困難な場合は、例外的に一側足場を使用できます。
ただし、可能な限り本足場を使用することが推奨されており、代替案を検討する必要があります。
安全性を確保できる方法を業者と相談することが重要です。
Q2. 点検記録の保存期間はどのくらいですか?
A2. 点検記録の保存期間は、足場を使用する作業が終了するまでです。
作業終了後も一定期間保管しておくことが推奨されます。
具体的な期間については、関係法令や社内規定を確認する必要があります。
Q3. 法改正に違反した場合、どのような罰則がありますか?
A3. 労働安全衛生規則違反として、罰金刑や業務停止命令などが科せられる可能性があります。
具体的な罰則内容は、違反の内容や程度によって異なります。
法令遵守を徹底し、安全な作業環境を整備することが重要です。
まとめ
2024年4月からの足場法改正では、安全性の高い本足場の使用が原則義務化されました。
一側足場の使用は制限され、点検者指名と記録保存も義務化されています。
業者選びでは、法改正への対応状況、安全対策の充実度、サービスの質と透明性を確認することが重要です。
今回の改正は、高所作業における墜落・転落事故の減少、ひいては労働災害の削減に大きく貢献すると期待されています。
法令遵守を徹底し、安全な作業環境を整備することで、建設・リフォーム業界全体の安全意識向上に繋げていきましょう。
本記事が、皆様の安全対策の一助となれば幸いです。
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創業60余年塗料専門商社コジマヤグループ
コジマヤ興業(株)リフォーム支援事業部
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