
ここ最近、塗装業界ではこれまでにないレベルで材料不足への不安が高まっています。
特に、
– 中東情勢の悪化
– ホルムズ海峡問題
– ナフサ価格上昇
– シンナー不足
– 副資材不足
– メーカー納期遅延
などの影響から、現場レベルでもかなり空気感が変わってきています。
コジマヤ興業でも全国の塗装店様から、
– 「今のうちに材料を押さえたい」
– 「シンナーはどこまで確保できますか?」
– 「副資材が急に入らなくなった」
– 「マスキングテープがどこにも無い」
といったお問い合わせが急増しています。
また最近では、InstagramなどSNS上で、
「○○のホームセンターにトシンがまだあった」
「マスキングテープが残っていた」
といった“在庫情報共有”まで行われるようになってきました。
これは単なる値上げ前の駆け込み需要というより、
“材料そのものが手に入らなくなるかもしれない”
という不安心理が、業界全体に広がっている状態だと感じています。
なぜ塗装業界はここまで影響を受けるのか?
一般ニュースでは「原油価格上昇」が注目されがちですが、実際に塗料業界へ大きく影響するのは、それ以上に
– ナフサ
– 石油化学原料
– 海運
– コンテナ
– 保険
– 物流
– 溶剤供給
などです。
特にシンナーや溶剤系材料は石油化学と直結しているため、比較的早い段階で影響を受けやすい特徴があります。
しかし今回、現場で印象的だったのは、
“塗料本体”より先に“副資材”の空気が変わった
ことでした。
なぜ副資材が先に不足したのか?
今回早期に不足感が強かったのは、
– マスキングテープ
– 養生材
– ローラー
– 刷毛
– マスカー
– 各種副資材
などです。
しかも実感としては、上塗り塗料類よりも早く市場在庫が薄くなった感覚があります。
これは単純な原料不足だけでは説明しきれません。
実際には、
“買占め心理”
がかなり強く働いていた可能性があります。
副資材は「在庫しやすい」
塗料と副資材では、実は“在庫心理”がかなり違います。
例えば塗料は、
– 使用期限
– 色ブレ
– ロット
– 硬化剤管理
– 温度管理
– 案件専用品
などがあり、無限に在庫できるものではありません。
しかし副資材は、
– 比較的長期保管できる
– 汎用性が高い
– どの現場でも使う
– 劣化しにくい
という特徴があります。
つまり、
「大量在庫を持っていても腐りにくい」
という安心感がある。
そのため、
「今のうちに少し多めに持っておこう」
という行動が起きやすいのです。
“価格”より“確保”へ
通常であれば、施工店様も仕入れ価格を重視します。
しかし現在は、
「多少高くても、今手に入るなら買いたい」
という空気感がかなり強くなっています。
実際、ホームセンターなど一般向け価格で販売されている副資材を、
普段より高額でも購入されるケースが増えています。
これは決して特殊な行動ではありません。
塗装業界は、
– 職人
– 足場
– 工期
– 元請
– 施主対応
など、工程が止まるリスクが非常に大きい業界です。
つまり、
“材料不足”=“現場停止”
につながります。
そのため、
「多少高くても確保したい」
という心理になるのは、ある意味自然な流れでもあります。
ただし全員が買い込むと市場が崩れる
一方で難しいのは、
“個人としては合理的”でも、
“市場全体では不足を加速させる”
という点です。
例えば、
– 念のため多め発注
– 他社にも重複注文
– 数か月分を先に確保
– 必要以上の副資材在庫
が一斉に起こると、
本来まだ足りていたはずの市場在庫まで、一気に消えてしまいます。
実際今回も、
「本当に不足している量」
以上に、
“不足するかもしれないという恐怖”
が市場を動かしている側面はかなりあると思います。
これは過去の、
– 木材ショック
– 半導体不足
– コロナ初期
– トイレットペーパー騒動
などとも似た構造があります。
では今、何が正解なのか?
正直に言えば、
“完璧な正解”はありません。
これはかなり難しい局面です。
例えば施工店様からすると、
– 材料が無い
– 工期が飛ぶ
– 職人が止まる
– クレームになる
方が致命的です。
そのため、
「今のうちに確保しておきたい」
という判断は非常に合理的です。
一方で、全員が過剰確保を始めると、市場全体の不足感がさらに悪化します。
つまり現在は、
“個人合理”と “全体合理”
がぶつかっている状態です。
販売店として感じる「難しさ」
私たち塗料販売店も、今回かなり難しい判断を迫られています。
例えば、
– 既存顧客を優先するべきか
– 新規対応をどこまで受けるか
– どうやって公平配分するべきか
– 在庫をどこまで確保するか
など、非常に難しい問題があります。
しかも市場全体が不安定になると、
「綺麗事だけでは会社も顧客も守れない」
場面が出てきます。
だからといって、
極端な囲い込みや独占に走ると、長期的には業界全体の信用低下にもつながる可能性があります。
今後、販売店に求められる役割
今回の件で改めて感じるのは、
塗料販売店は単なる“流通”ではなく、
“現場インフラ”
としての役割が求められているということです。
単純に材料を売るだけではなく、
– 情報共有
– 納期案内
– 代替提案
– 市場温度の共有
– 現場リスク管理
なども重要になってきています。
特に今後は、
「どれだけ早く情報を持つか」
より、
「情報をどう整理して伝えるか」
が大切になる時代かもしれません。
最後に
現在の塗装業界は、
– 中東情勢
– ナフサショック
– 物流問題
– 副資材不足
– 市場心理
など、複数の問題が重なっている非常に難しい局面です。
その中で、
「大量確保が正義なのか」
「公平配分が正しいのか」
簡単に答えが出る問題ではありません。
ただ一つ言えるのは、
“現場を止めない”
という視点が、これまで以上に重要になっているということです。
コジマヤ興業としても、今後も現場目線を大切にしながら、実際の市場温度感や業界動向を発信していきたいと思います。









