
なぜ今、塗料メーカー各社で数量制限が広がっているのか
最近、塗料業界では各メーカーによる、受注停止、出荷調整、数量制限、前年実績ベース制限などの案内が相次いでいます。
特に現在は、中東情勢悪化、ナフサ供給不安、原料価格高騰、物流不安なども重なり、市場全体が通常時とは違う動きを見せています。
その中で最近かなり増えているのが、「前年実績ベースでの出荷制限」です。
一見すると、「古くから付き合いのある会社を優先しているのでは?」と感じる部分もあるかもしれません。
ただ、販売店として現場を見ていると、実際にはそれだけではなく、前倒し需要の暴走を抑えるという意味合いがかなり大きいように感じています。
今回は、現在塗料業界で起きている「前年実績ベース制限」の背景について、販売店視点で整理してみます。
なぜ今、塗料メーカー各社で数量制限が広がっているのか
現在の塗料業界では、「本当に足りないのか」だけでなく、今後さらに止まるかもしれないという不安そのものが市場へ大きく影響しています。
そのため施工店様側でも、今のうちに確保したい、次回入荷が不安、現場を止めたくないという心理がかなり強くなっています。
これは決して不自然なことではありません。
塗装工事は、職人手配、足場、工期、施主様対応など全てが連動しているため、材料不足による現場停止リスクは非常に大きいからです。
受注停止・再開・再停止が繰り返される理由
現在、複数メーカーで見られているのが、受注停止、一部再開、注文集中、生産・物流パンク、再停止という流れです。
実際、一度「不足するかもしれない」という認識が市場へ広がると、再開した瞬間に注文が殺到する状態になりやすくなります。
そのためメーカー側としても、通常時の生産能力だけでは対応しきれなくなるケースが発生しています。
つまり現在は、不足そのものだけではなく、不足不安による注文集中も大きな問題になっています。
なぜ「前年実績ベース制限」が合理的なのか
その中で最近増えているのが、前年同月実績を基準とした出荷制限です。
これはメーカー側として見ると、過度な前倒し発注防止、在庫抱え込み防止、転売的需要防止、実需ベース供給維持を行うためには、かなり合理的な方法です。
例えば、普段10缶しか使用しない会社が突然100缶注文する状態をそのまま受けてしまうと、本当に必要な現場へ材料が回らなくなる可能性があります。
そのため、通常使用量を基準に配分するという考え方が現在広がっています。
ただし、前年実績制限にも難しさはある
一方で、この方法にも課題があります。
例えば、新規採用店、急成長中の施工店、新規現場増加中の会社などは、もともとの実績が少ないため、必要量に対して十分確保できないケースも発生しやすくなります。
つまり、公平性と実運用のバランスが非常に難しいということです。
また、大手施工店側も、人件費、固定費、職人稼働、現場維持を抱えているため、材料停止は死活問題です。
そのため現在の塗料業界は、誰か一社が悪いというより、市場全体が供給不安に引っ張られている状態に近いように感じています。
今回の問題は「原料不足」だけではない
今回怖いのは、単純な原料不足だけではありません。
塗料業界は、ナフサ、樹脂、溶剤、シンナー、海運、コンテナ、物流など、多くが複雑につながっています。
そのため実際には、原料があるかだけでなく、安定して流せるかの方が問題になりやすいと感じます。
最近では、塗料だけでなく地域指定ゴミ袋などでも供給不安の話が出ており、原料配分や物流影響の広がりも感じます。
販売店として感じる現在の空気感
販売店として見ていても、現在はかなり難しい局面です。
実際、受注量自体は増えています。
ただし、その量を安定して納品できるかは別問題になっています。
そのため現在は、売れているから安心ではなく、止めずに回せるかへの緊張感の方が強い状態です。
コジマヤ興業株式会社としても、メーカー動向、納期状況、出荷制限、代替提案、地域在庫感などをできるだけ早く共有しながら、施工店様の現場を止めない対応を重視しております。
まとめ
現在塗料業界では、供給不安、前倒し需要、出荷調整、物流不安などが複雑に絡み合っています。
その中で広がっている「前年実績ベース制限」は、単なる優遇措置というより、
市場の過熱を抑えながら実需へ供給するための対応として行われている側面がかなり大きいように感じます。
一方で、新規採用店や成長中の施工店には厳しい側面もあり、非常に難しいバランスの上で市場が動いています。
今後も状況変化には注意しながら、現場側では早めの情報共有と材料確保判断が重要になりそうです。
※本記事は塗料販売店として、施工店様・メーカー様との日々のやり取りの中で感じている現場感をもとに整理した内容です。特定企業や商品の評価を目的としたものではありません。
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