
外壁塗装の商談では、
「塗装をすれば、家がきれいになります」
「耐候性の高い塗料を使えば、長期間建物を保護できます」
「遮熱塗料なら、夏場の暑さ対策にもつながります」
といった、工事をすることで得られるメリットや価値を説明することが多いと思います。
もちろん、こうした説明は大切です。
一方で、お客様が外壁塗装を検討するときには、
「工事をすると何が得られるのか」
だけではなく、
「今の状態をそのままにすると、今後どうなる可能性があるのか」
という情報も、判断材料の一つになります。
人は「得ること」と「失うこと」を、必ずしも同じようには感じないとされています。
この人間の心理を知っておくと、外壁塗装の提案についても少し違った見方ができます。
人は必ずしも合理的に判断するわけではない
この考え方を理解するうえで知られているのが、
ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによるプロスペクト理論です。
簡単にいえば、人は利益が得られる場面では確実な選択を好みやすい一方、
損失を避けようとする場面ではリスクを取ることがある、
という人間の意思決定の特徴を示したものです。
そしてもう一つ重要なのが、
同程度の利益と損失であっても、損失の方を強く意識する傾向がある
という考え方です。
たとえば、
「100万円得をする可能性」
と、
「100万円損をする可能性」
があった場合、同じ100万円でも「失うかもしれない」という方が強く意識されることがあります。
こうした人間の心理は、外壁塗装の商談でも無関係ではありません。
「塗装すると得られる価値」だけを説明していないか
外壁塗装の提案では、どうしても工事後のメリットに目が向きます。
「外壁がきれいになる」
「耐候性が高くなる」
「建物を保護できる」
「イメージを変えられる」
こうした説明は、お客様に工事の価値を理解していただくために必要です。
ただ、それだけでは判断しにくいお客様もいます。
たとえば現地調査で、
- シーリングの劣化が進んでいる
- 外壁にクラックが発生している
- 塗膜の防水性が低下している
- 鉄部に錆が発生している
といった状態が確認できたのであれば、
「塗装するときれいになります」
だけでなく、
「現在このような状態になっているため、
そのまま進行すると、このような問題につながる可能性があります」
というところまで説明する。
これも、お客様が工事時期を判断するために必要な情報だと思います。
大切なのは「不安を煽ること」ではない
ここで注意したいのが、
損失を意識させれば契約しやすくなる
という話ではないことです。
外壁塗装では、建物の状態がお客様自身には分かりにくいことがあります。
そのため、
「今すぐ塗装しないと雨漏りします」
「このままでは大変なことになります」
など、実際の建物の状態以上に危険性を強調してしまえば、
お客様の不安を必要以上に大きくしてしまいます。
プロスペクト理論を営業テクニックとして利用して不安を煽るのではなく、
現地調査で確認できた事実をもとに、工事をするメリットと、
先送りした場合に考えられるリスクの両方を伝える。
この使い方の方が、外壁塗装の提案には合っているのではないでしょうか。
写真があると「損失」ではなく「事実」として伝えやすい
そのためにも役立つのが、現地調査時の写真です。
たとえばクラックがあれば写真を撮影し、
「ここにクラックがあります」
「現在はこの程度です」
「今後進行した場合には補修範囲が広がる可能性があります」
と順番に説明する。
これなら、単に
「放っておくと危険ですよ」
と伝えるのとは意味が違います。
お客様自身に現在の状態を見てもらい、
「今工事をするのか」「もう少し様子を見るのか」
を判断してもらうための材料になります。
メリットとリスクはセットで伝える
外壁塗装の提案を考えると、
メリットだけでも、リスクだけでも情報として十分ではない
ということになります。
たとえば、
今塗装する場合
「外観をきれいにできる」
「現在発生している劣化部分を補修できる」
「塗膜によって外壁を保護できる」
一方、
工事を先送りする場合
「現在確認できている劣化が進行する可能性がある」
「状態によっては将来の補修範囲が広がる可能性がある」
こうして両方を説明したうえで、お客様に判断してもらう。
「塗装してください」と結論だけを伝えるよりも、
なぜ今塗装を検討するのかを理解しやすくなります。
「今やらない場合」を説明することも提案の一つ
施工店様との会話の中でも、
「今やった方がいいですよ」だけではなく、
「今やらなかった場合にどうなる可能性があるのか」まで説明する
という話を聞くことがあります。
これは単純なネガティブ営業とは少し違います。
お客様が知りたいのは、
「塗装したらどうなるのか」
だけではありません。
「まだ塗装しなくても大丈夫なのか」
「あと数年待つと何が変わるのか」
「今やる場合と後でやる場合では何が違うのか」
こうした情報も、工事を判断するうえでは重要です。
場合によっては現地調査をした結果、
「現時点では急いで全面塗装する必要はないと思います」
という結論になることもあるでしょう。
それも含めて伝えられることが、
お客様との信頼関係につながっている施工店様もあります。
心理を「契約させるため」に使わない
営業心理を勉強すると、
「損失回避」
「アンカリング」
「希少性」
など、さまざまな考え方が出てきます。
こうした知識そのものは、商談を考えるうえで参考になります。
ただ、外壁塗装は決して小さな買い物ではありません。
心理効果を使ってお客様を契約へ誘導することより、
「お客様が何を不安に感じ、何を判断材料として必要としているのか」
を考えるために使う方が、施工店様の営業には活用しやすいのではないでしょうか。
「工事をすると何が得られるのか」
そして、
「工事をしなかった場合には何が考えられるのか」
この両方を、現地調査で確認した事実をもとに説明する。
そのうえで、お客様自身に判断していただく。
プロスペクト理論の考え方を外壁塗装営業に取り入れるのであれば、
このくらいの距離感がちょうどいいと思います。
施工店様から教えていただく営業方法を、これからもご紹介します
コジマヤ興業株式会社は塗料を販売する会社ですので、
日頃から多くの塗装店様・リフォーム店様とお付き合いする中で、
「この取り組みは、他の施工店様にも参考になるのではないか」
と感じる営業方法や考え方を教えていただく機会があります。
今後も、そうした施工店様の実際の取り組みや考え方の中から、
日々の営業活動に活用できそうな情報をご紹介していければと思います。
塗料を通じて、施工店様をサポートしています。
コジマヤ興業株式会社は、塗装店様・リフォーム店様・工務店様へ塗料を販売する専門商社です。
各種メーカー塗料やPB塗料のご提案はもちろん、日頃お付き合いのある施工店様からは、
保証制度や外壁洗浄、ホームページ活用など、塗料販売の枠を超えたご相談も数多くいただいています。
私たちは、塗料を納品して終わりではなく、
施工店様の身近なパートナーとして、お役に立てる情報やサービスをご提案しています。









