
外壁塗装の商談では、相見積りになることも珍しくありません。
A社は100万円。
B社は110万円。
C社は120万円。
金額だけを並べれば、当然100万円の会社が一番安く見えます。
しかし、施工店側からすると、
「そもそも工事内容が違う」
「使用する塗料が違う」
「下地処理の内容が違う」
「塗装する範囲が違う」
ということもあるでしょう。
それでも、お客様から見れば同じ「外壁塗装の見積書」です。
だからこそ施工店は、見積書を提出するだけではなく、
何にいくらかかるのか、なぜその工事が必要なのかまで説明することが重要です。
お客様は見積書の「違い」が分からない
施工店にとって、
下塗り
中塗り
上塗り
シーリング打ち替え
ケレン
錆止め
付帯部塗装
といった言葉は日常的なものです。
しかし、初めて外壁塗装をするお客様にとっては、知らない言葉ばかりです。
さらに複数社から見積書を取れば、
「一式」と書いてある会社。
面積まで細かく書いてある会社。
商品名が書いてある会社。
塗装回数が書いてある会社。
と、書式そのものも違います。
この状態で、
「うちの見積りは内容がいいので分かってもらえるはず」
と考えるのは難しいでしょう。
比較できないものは、最終的に分かりやすい数字である「総額」で比較されやすくなります。
見積書は「提出する資料」ではなく「説明する資料」
見積書をメールで送り、
「ご検討ください」
だけで終わってしまえば、お客様は自分で内容を読み解かなければなりません。
一方で、
「この工事項目は、先ほど現場で確認したこの劣化に対する補修です」
「この部分は塗装ではなく、別の処置が必要だと判断しています」
「こちらの塗料を選んだのは、ご希望されていた耐候性を考えての提案です」
と説明すれば、見積書の数字に意味が生まれます。
重要なのは項目を細かくすることだけではありません。
見積書と現場調査、そして提案内容をつなげて説明することです。
「一式」が悪いのではなく、中身が分からないことが問題
見積書では「一式」という表記が使われることがあります。
一式表記そのものがすべて悪いわけではありません。
工事によっては数量化しにくいものもあります。
問題なのは、
その一式に何が含まれているのか、お客様が分からないことです。
たとえば、
「付帯部塗装 一式」
と書くのであれば、
雨樋
破風
軒天
水切り
など、どの部分が対象なのかを説明する。
「下地補修 一式」であれば、どのような補修を想定しているのかを伝える。
これだけでも、お客様が見積内容を理解しやすくなります。
同じ塗料でも見積金額が同じになるとは限らない
相見積りでよく起こるのが、同じメーカー・同じ塗料を使っているのに金額が違うケースです。
お客様からすると、
「同じ塗料なら安い会社でいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、外壁塗装の金額を決めるのは上塗塗料だけではありません。
施工面積。
下地の状態。
下塗材。
補修内容。
シーリング工事。
付帯部。
足場。
施工方法。
こうした条件によって見積金額は変わります。
そのため施工店としては、単に、
「この塗料は高性能です」
と説明するだけでは不十分です。
その建物に対して、どのような工事全体を提案しているのかを説明する必要があります。
塗料の「グレード」だけの比較にしない
外壁塗装では、
シリコン
フッ素
無機
など、塗料のグレードを中心に説明することがあります。
もちろん塗料選びは重要です。
しかし、お客様が、
「無機だから一番いい」
「フッ素より無機の方が上」
という単純な理解だけになってしまうと、塗料の商品比較が商談の中心になってしまいます。
施工店が説明したいのは、
建物の状態。
お客様の希望。
今後どのくらい住む予定なのか。
どこまで耐久性を求めるのか。
予算をどう考えるのか。
などを踏まえて、なぜその仕様を提案したのかという部分です。
塗料のスペックを説明するだけではなく、
選定理由まで伝えることで、見積書が「商品価格表」になるのを防げます。
「高い理由」ではなく「違う理由」を説明する
相見積りで自社の方が高かったとき、
「うちは丁寧にやるので高いです」
と説明したくなることがあります。
しかし、お客様からすれば、他社も「丁寧に施工します」と言っているかもしれません。
そこで重要になるのが、抽象的な品質ではなく具体的な違いです。
たとえば、
「弊社ではこの部分まで塗装範囲に含めています」
「現場調査でこの劣化を確認したため、補修費を入れています」
「この下地にはこの下塗材が必要だと判断しています」
という説明です。
高いことを正当化するのではなく、見積内容がなぜ違うのかを説明する。
その方がお客様にとっても判断しやすくなります。
3つのプランを出すなら「価格差の理由」を明確にする
施工店によっては、
スタンダードプラン
ハイグレードプラン
プレミアムプラン
など、複数の見積りを提示することがあります。
この方法自体は、お客様に選択肢を提供できるメリットがあります。
ただし、
80万円
100万円
120万円
と金額だけが違っていては、お客様はどれを選べばいいか分かりません。
「塗料が違います」
だけでなく、
何を重視したプランなのか。
どのようなお客様に向いているのか。
価格差によって何が変わるのか。
を説明した方が選びやすくなります。
施工店の役割は、一番高いプランを売ることではありません。
お客様が自分に合った工事を判断できる材料を用意することです。
他社の見積書を否定しない
相見積りでは、お客様から他社の見積書を見せてもらうこともあるでしょう。
その際、
「この会社の見積りはダメですね」
「こんな仕様では長持ちしません」
と他社を否定することは、必ずしも自社への信頼につながりません。
見積書だけでは、他社が現場でどのような説明をしたのか分からない場合もあります。
それよりも、
「弊社ではこのように考えて、この仕様をご提案しています」
と、自社の判断を説明することに集中する方が建設的です。
他社より優れていると言うのではなく、自社が何を確認し、どう考えたのかを伝える。
最終的な判断はお客様にしてもらえばいいのです。
現場調査書と一緒に説明すると分かりやすい
見積内容を説明するうえで相性がいいのが、現場調査書です。
たとえば、
現場調査書でシーリングの破断を見せる。
↓
補修が必要な理由を説明する。
↓
見積書のシーリング工事項目を確認する。
この順番で説明すれば、
「なぜこの金額が入っているのか」
が分かりやすくなります。
見積書だけでは伝えにくい部分を写真や資料で補うことで、
金額と工事内容を結び付けることができます。
見積りの目的は「安く見せること」ではない
相見積りになると、どうしても他社の金額が気になります。
もちろん市場価格から大きく離れていないかを確認することは必要でしょう。
しかし、他社より安くすることだけを考え続ければ、最後には価格競争になります。
施工店ができるのは、
現場をきちんと調査する。
必要な工事を考える。
その理由を説明する。
お客様が比較できる情報を提供する。
ということです。
価格以外の判断材料がなければ、お客様が価格で選ぶのは自然なことです。
だからこそ、見積書を出すことを商談のゴールにするのではなく、
「この見積りが、なぜこの内容になっているのか」まで伝える。
それが、外壁塗装の見積りを単純な価格比較にしないための第一歩ではないでしょうか。
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