
外壁塗装の商談や施工中、お客様から、
「ついでにここも塗ってもらえませんか?」
「この部分も少し直してもらえませんか?」
と頼まれることがあります。
それほど大きな作業ではなければ、
「そこはサービスでやっておきますよ」
と、その場で答えることもあると思います。
お客様に喜んでもらうための善意ですし、それ自体が悪いわけではありません。
ところが実際に施工店様から、この「サービスでやっておきます」という口頭での約束が、
後になってクレームにつながってしまった事例を聞いたことがあります。
今回はその事例から、無料のサービス工事を引き受けるときに注意しておきたいことをご紹介します。
善意で引き受けたサービス工事がクレームになった
今回の事例では、外壁塗装工事の打ち合わせの中で、本来の工事範囲とは別の箇所について話が出ました。
そこで営業担当者が、
「そこもサービスで塗っておきます」
と口頭でお客様へ伝えました。
営業担当者としては、あくまで本工事に付随する無料サービスという認識です。
ところが、実際に工事を行うのは別の職人です。
さらに施工店によっては、自社職人ではなく協力業者が施工することもあります。
営業担当者、お客様、実際に施工する職人。
この3者の間で「サービス工事」の認識が揃っていなかったことから、問題が起こりました。
「無料だから簡易的に」と「やると言った以上きちんと」は違う
施工店側からすると、
「無料サービスなので、本工事と同じ工程・仕様で施工するものではない」
という認識でした。
一方、お客様からすると違います。
無料か有料かにかかわらず、
「塗っておきますと言われたのだから、当然きちんと仕上げてもらえる」
と考えていました。
ここに認識のズレが生まれます。
施工店側としては善意で行ったサービスなのに、お客様からすると、
「聞いていた仕上がりと違う」
「ここも塗ってくれると言っていたはず」
という不満になってしまう。
結果として、本来はお客様に喜んでもらうために行ったサービス工事が、
逆にクレームの原因になってしまいました。
問題は「無料だったこと」ではない
この事例で重要なのは、無料サービスをしたこと自体が問題だったわけではないということです。
問題だったのは、
「何を、どこまで、どのように施工するのか」が関係者の間で共有されていなかったこと。
だと思います。
たとえば営業担当者が、
「ここはサービスで塗っておきます」
と言ったとしても、それだけでは具体的な施工内容までは分かりません。
どこからどこまでなのか。
どのような下地処理をするのか。
何回塗るのか。
本工事と同じ仕様なのか。
簡易的な補修なのか。
こうした条件について、
営業担当者とお客様が同じイメージを持っているとは限りません。
さらに、その内容が現場の職人まで正確に伝わっていなければ、
もう一つ認識のズレが生まれます。
営業担当者の「その場の一言」は現場への施工指示になる
特に気をつけたいのが、
営業担当者が商談中にその場でサービスを約束するケースです。
営業担当者からすれば、
「これくらいならサービスしてあげよう」
という気持ちかもしれません。
しかし、その一言によって実際に作業するのは現場の職人です。
つまり、
営業担当者がお客様へ約束した内容は、
そのまま現場への施工指示になる可能性があります。
営業担当者だけが知っていて、職人が知らなければ、
「そんな話は聞いていない」
ということにもなります。
反対に職人が善意で追加作業を引き受けたものの、
営業担当者がその内容を把握していないというケースも考えられます。
無料サービスほど正式な見積書に載らないため、
こうした情報共有から漏れやすいところがあります。
サービス工事こそ書面に残しておく
今回のようなトラブルを防ぐ方法として、サービス工事であっても
施工内容を書面に残しておくという方法があります。
たとえば見積書や工事内容の確認書などに、
「○○部分 サービス施工」
と記載しておく。
必要であれば、
「どの範囲まで施工するのか」
「通常工事と施工仕様が異なるのか」
まで記録しておきます。
無料だから書かないのではなく、
無料だからこそ、通常の見積項目とは違うことが分かるように残しておく。
そうすれば、お客様との確認にも使えますし、
営業担当者から現場への引き継ぎにも使えます。
簡易施工なら、それも先に伝えておく
サービス工事だから通常工事より簡易的な施工になるのであれば、
そのことも事前に説明しておいた方が認識のズレを防ぎやすくなります。
たとえば、
「こちらは今回サービスで対応しますが、
本工事と同じ工程ではなく簡易的な補修になります」
など、施工前に伝えておく。
これだけでも、
施工店が考える「サービス」と、お客様が考える「サービス」
を近づけることができます。
逆に説明せず、
「サービスでやっておきます」
だけで終わらせてしまうと、お客様は通常工事と同じ品質を期待するかもしれません。
サービス工事をやめる必要はない
もちろん、こうした事例があったからといって、
サービス工事そのものをやめる必要はないと思います。
ちょっとした対応がお客様に喜ばれ、
その後の紹介やリピートにつながっている施工店様もあります。
問題なのはサービスすることではなく、
約束の内容が曖昧なまま工事が進んでしまうことです。
その場で何気なく、
「やっておきますよ」
と言ったことでも、お客様にとっては会社との正式な約束になります。
だからこそ、
何をサービスするのか。
どこまで施工するのか。
どのような仕上がりになるのか。
その内容が現場にも共有されているか。
ここまで確認しておく。
今回の実例を聞いたとき、サービス工事ほど曖昧になりやすいからこそ、
あえて明確にしておくことが大切なのだと感じました。
実際の事例から得られた情報を、施工店様へ
コジマヤ興業株式会社は塗料を販売する会社ですので、
日頃から多くの塗装店様・リフォーム店様とお付き合いする中で、
「この取り組みや事例は、他の施工店様にも参考になるのではないか」
と感じる話を教えていただく機会があります。
今回のような失敗事例も、同じトラブルを防ぐためには貴重な情報です。
今後も、施工店様との日々のやり取りの中で教えていただいた実際の取り組みや事例から、
日々の営業や現場管理に活用できそうな情報をご紹介していければと思います。
塗料を通じて、施工店様をサポートしています。
コジマヤ興業株式会社は、塗装店様・リフォーム店様・工務店様へ塗料を販売する専門商社です。
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